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権利の上に眠る者を法は保護せず

学生時代の法学で聞いた言葉を思い出しました。

重要な警句だと思います。

権利は義務ではありませんから,行使しない(権利の上で眠る)ことは勝手です。別に罰せられる事はありません。しかし,それでは権利は保護されません。「権利を行使しない人の権利は取り上げられても仕方ありませんよ。」ということです。

この法格言は,民法で債権の時効の際に聞いたものです。借金という卑近な例ですが,権利というものを法律はどう捉えているかを知る重要なものだと思います。国民の権利としての選挙権だって同じことです。それを行使しない人に保護がおよぶ訳がありません。

借金の例えで言えば,借りたお金は返す義務があります。貸した側は,返してもらえる権利を持つわけですが,一定の請求をしないで日が過ぎると,時効でパーになります。善良な人なら,時効になったって返す事でしょう。しかしそれなら法なんて必要ありません。倫理観のない人間なら,時効を良いことに返さないでしょう。それでは,ずるい人が得をする様に思う人もいるかもしれませんが,法は現実社会のものであり,聖人君主や理想郷での取り決めでは無いという事です。

新たに権利を得た若者達に言っておきました。

若者の方がこの先何十年も,遥かに影響期間は長い。年寄りはもう老い先短いのだから,投票権なんか無くたって良いようなものだと。
だけど,もし,「トシヨリから投票権取り上げましょう」ということにしたら,大変な事になるだろう。老人が暴動を起こすかも知れないから,まず有り得ない。そんな簡単な思考実験でも,如何に老人重視の政治かという事が分かるではないかと。
本来なら,18歳19歳に選挙権が与えられた事は,老人から投票権を奪う事よりもずっと重要な事のはずだと。
しかし,折角の権利を行使しない者は,「権利の上で眠る者」となり,「その権利を取り上げられても仕方が無い」ことになるのだと。

強く頷く者がいた反面,微妙な顔をしている者もいた気がします。
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コメント 2

momotaro

選挙権も、現憲法が保障している国民の権利も、うかうかしていると消滅してしまいますよね。
権利の上に眠っていてはいけません!
by momotaro (2016-07-19 07:05) 

Enrique

momotaroさん,権利意識を言うと胡散臭く見てしまう事こそ国民の性だと思います。人の権利などどうでも良く自分さえ良ければ良いと。自分の権利を主張し人の権利も尊重するのが健全な社会だと思います。
権利を放棄し制限してもらって嬉しいはずが無いのですから。
by Enrique (2016-07-20 05:40) 

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