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「オーバーシュート」という言葉はおかしいが

新型コロナの専門家会議が,「オーバーシュート」という言葉を持ち出して警戒を呼びかけてから既に一週間ほどでしょうか。

依然感染拡大は進行している様ですから,むろん厳重な警戒を呼び掛けるのは良いのですが,おかしな用語を使うのは止めていただきたい。

理工学を学んだ人間ならば,使い方がおかしいと考えるはずです。当方もその一人です。相場の動きを表現する際にも使うようですので,その専門の方々も違和感持つでしょう。

目新しい用語を持ち出して煙に巻く,という悪しき見本です。
今求められるのは,専門家は科学的な判断をしろうとに分かりやすく伝える事だろうと思いますが,そもそも政策に科学的な判断がなされていないから,ごまかすしか手は無いと。そういう状況で出てきた用語だと思われます。むしろ専門家の方々の苦境を慮ります。

オーバーシュートは制御工学や回路理論で現れる用語です。
制御量が目標値を越えて行き過ぎてしまう現象です。一時的な行き過ぎで,大概はアンダーシュートも経て目標値に落ち着きます。ダメな場合は振動するか発散するかです。ですから,むしろオーバーシュートは制御下での行き過ぎ現象です。制御不能の発散状態をオーバーシュートとは言いません。

感染学の分野での独特の専門用語なのでしょうか?
もし制御で使うオーバーシュートの概念なのだと仮定すれば,目標値は何なのでしょう?
ひょっとしたら,医療のキャパシティの事なのでしょうか?だとすれば,受け入れ医療機関のベッド数という目標値に対して感染者数がオーバーしてしまうという,割と明確な量に対する行き過ぎ量だと認識できます。

だとすれば,それは国民に注意を呼びかける言葉ではなく,医療管理者側の言い分ではないでしょうか。しかも自然科学的な現象を指すのではなく,人為的な都合を言っているだけです。それを正直に言うとパニックを起こすといけないから,変な言葉を使っているということなのでしょうか?

検査数をいたずらに増やすと医療崩壊を起こすという意見が強くあります。
国民は,怪しくても我慢してなるべく医療機関にかからないことが求められているのでしょうか?
「オーバーシュート」という言葉づかいが,そういう無言の圧力の様に聞こえてしまいます。
怪しくても検査をたらい回しにされる。4日間熱が続いて保健所に連絡しても,検査は認められず,かかりつけ医に掛かれと門前払いされるなどの例が聞こえてきます。当のかかりつけ医は検査手段さえ与えられず,恐怖と共に患者にあたる。いくらヒューマニティのある医師と言えど,大変気の毒です。もちろん,怪しくても検査を受けさせてもらえない人も大変な恐怖です。
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momotaro

検査をせず、実態を知らないまま、危機らしきものを乗り越えようとするのは、まったくお粗末な態度です。稚拙です。人として社会として成熟していません。
あの戦争もそうでしたし、ガン患者にそれを知らせなかったこともそうでした。
しっかり見ないと対応できないし、今後に活かすこともできません。
オーバーシュートも都市封鎖も、ムードを表すだけの言葉でしょう。
by momotaro (2020-03-26 04:41) 

Enrique

momotaroさん,
オリンピック延期が決まった途端に陽性者数が増え出しました。
検査実施人数の変化はマイナスになったりしてさっぱり分かりません。検査機関を絞ることで陽性者の見かけ上の増加を防いでいたのは明らかになりつつあります。
by Enrique (2020-03-26 06:14) 

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