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学問の自由に土足で踏み込む問題

そのことがなぜ悪いのかよくわからない人が少なくないようです。
gontanさんのところでコメントをしたのですが。

スガさんのやった事を評価したいのか,変な議論が沢山出ています。

・会議側の推薦を無批判に受け入れるのはおかしいのでは?
もともとの法の心を知れば,そんな議論にはなりません。
法律には外して良いとも悪いとも書いてありません。しかし,政治家に学者を選別する能力はありません。当たり前の事なので,学者サイドに任せてきたわけです。
チェックするのかどうかという,かつての法律の運用を聞かれ,会議側の推薦通りに認めると事務側が回答しています。それが法の趣旨だからです。

酷いのになると,「学術会議側に推薦理由を示せ」とか言っている御仁がいます。幾らでも示せますわね。200人余りの学者のそれをご覧になる気はあるのですか?学者の評価などいくらでも実績を示せるのに,政治側が何の根拠もなくハネることを問題にしているのです。

・任命権者がチェックして何が悪い
・税金を使っているのだから,政権批判の人は外しても当然
こんなのは,言語道断です。政策へのチェック助言機関として作っているのであって,政権批判があっても当然なのです。それによって,より正しい方向に舵が切れるのです。どんな優れた人であっても,間違う事はあるものです。優れた人ほど,まっとうな批判はちゃんと聞くものです。政権に批判的な者は外すと,こういうことをやるのは,ろくでもないと自ら白状しているということです。

そもそも政権に批判的な提言があったって,政治的な観点から必ずしもそれに従わなくても良いわけです。あくまでも学術的な観点からの提言なのですから。にもかかわらず,それすら見えなくしようというのは,幼児の発想でしょう。

税金のムダとか,一生懸命論点ずらしをしている人たちがいますが,一言いっておけば,そのような政治から独立した機関を意味のないものにする行為こそ税金の無駄遣いなわけです。年間わずか10億円の税金の支出をムダだとか叫んでいる人たちの無理解に気づいてもらわないといけません。

政権側が,中立した提言を貰うのが本来の目的です。
そもそも,「専門事項は専門家に任せる」というのが右派の主張,ないしは知恵だったのではないのですか? 右派の思考のイロハさえ分からなくなったおバカさんが,右派を気取っているのではないですか。中国共産党と同じことをしているけれども,中国共産党は悪いが,当方はアメリカ傀儡だから良いと?いい大人が幼児化してどうするのですか。

専門家に任せるべきことを任せないで,任せるべきでないものを任せているのではないですか。
国民の代表なわけですから,批判すべきことは批判が必要です。偉い人のすることだから良いとか,学者は偉そうなことだけ言っているからけしからんとか,どれも幼児の発想です。

残念ながら,デタラメ・ご都合主義がまかり通った国は衰退するのみです。

長らく経済一流政治三流と言われてきました。
政治はそれ以下,一流だった経済もすでに二流三流。
学術は蚊帳の外だったわけですが,政治家らは最も遠い世界だったのだが,「専門事項は専門家に任せる」知恵すら回らなくなった御仁が政治を始めて,学術も二流三流に貶めようと(嗚呼)。

学問の基礎は真理の探究です。政治とも行政とも全く異なるものです。
仮に立派な先生が仰った事でも間違っていれば,間違っていましたと率直に認め正す。それが学術の発展そのものです。何をするかわからないおバカな権力者の顔色を窺っていては,完全に学術の進歩は止まってしまいます。学術がすべての事項,科学はもちろん,政治にも経済にも役立つのは,それが独立した存在であるからです。権力に組み敷かれた学術会議など,単なる御用聞き会議にしか過ぎません。

多くの国民が,「自分たちも生活において権力者の顔色を窺っている。当たり前。」だというならば,それは明らかに間違いです。学術は会社内の処世術とか,商売の都合とかいった生活の知恵ではなく,人類の最も信頼できる指針です。それにおかしな手を出すことは,天に唾する行為だという事に気づいてもらわないといけません。

かつての日本人は,自分の分からないものは自分の努力が足りないのだと察して一生懸命努力しました。あるいは専門能力のある人に任せました。しかし,いつからか,自分の無知を棚に上げて,相手が悪いのだと言う人が増えてきたように思います。

謙虚さを失った日本人に何か良いことはあるでしょうか?
スガさんよ,もしあなたに少しでも良識があるのならば,誤りを認め,撤回しなさい。
無知な国民をだまして(無言の圧力で),ごまかすのはお止めなさい。同会議の改革改善の議論はそれからのことでしょうに。
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gonntan

>政権に批判的な提言があったって,政治的な観点から必ずしもそれに従わなくても良いわけです。あくまでも学術的な観点からの提言なのですから。にもかかわらず,それすら見えなくしようというのは,幼児の発想でしょう。
全くその通りです。いい大人が幼児の発想で動いて、それに拍手をする大人がいるというこの国の状態は、異常です。異常に気づいていない高学歴の方がたくさんいるというのも不思議です。詭弁や詐術が大手を振ってまかり通る世の中はこどもたちにも悪い影響を与えます。

by gonntan (2020-10-15 22:31) 

Enrique

gonntan様,
残念ながら,おっしゃるように子供にも悪い影響を与えます。
むしろ一番敏感に感じ取るかもしれません。
大正生まれの私の父が旧制小・中学生だったころ,作文と言えば「戦地での兵士を思い自分たちも銃後に備えなければ」と言ったような内容が奨励され,良い点数が付いたそうです。中身ではなく,戦争を翼賛しているかどうかが採点基準だったのです。何分戦前戦中の軍国少年だった父はそれを当たり前の事のように言っていました。
時の教育でそうなってしまう事もあれば,気づいていても,今回見えたようなあからさまなやり口の様に,「批判すると損だぞ」というメッセージが国民の損得勘定に響いてしまっているのでしょうか。
ある意味バカな人には良い世の中です。何も考えず現状肯定していいればいいのですから。でもおかしいと分かるバカでない人が,批判をすると,バカ以下に貶められてしまいますから,黙ってしまう。長いものには巻かれろと。そら恐ろしい事ですが。

by Enrique (2020-10-19 13:44) 

momotaro

お説にまったく賛成です。
殊に「学術は会社内の処世術とか,商売の都合とかいった生活の知恵ではなく,人類の最も信頼できる指針です。それにおかしな手を出すことは,天に唾する行為だという事に気づいてもらわないといけません。」この部分。
ジミン党は、学術も含め全ての上にあると思い上がってしまっているようです。
by momotaro (2020-10-23 01:39) 

Enrique

momotaroさん,
このような所業に対して批判が出るのは当然なのに,おかしな的外れな逆批判をする人がかなりいますので,つい我慢できなくなりました。
by Enrique (2020-10-23 06:40) 

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