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自治会活動の構造問題〜その2〜

町内会長をやって苦しんだ問題に宗教との関係があります。
勝手に与党議員の後援会役員にされるのも酷いものですが,これまた勝手に神社の氏子代表にさせられます。

それは神社側の論理では当然のことの様です。

地域に住む住民は,「自動的に」そこにある神社の氏子になるのだそうです。だから町内会長は自動的に氏子の代表だと。そんなこと住民が知ろうが知るまいが関係ありません。むしろ知らない方が都合が良いのでしょう。

信教の自由もへったくれもありません。
こちらがキリスト教だろうが,イスラム教だろうが関係なし。私は不真面目な仏教徒ですが,それでも大いに違和感ありました。

憲法すら無視されます。彼らが憲法改正の運動に熱心なのは,現憲法では違憲状態であるため,神道を国教に戻し,そこだけでも合憲化したいのでしょう。古い歴史を持つ神道関係者がすべてその様な意識を持っているのかどうかは知りませんが,少なくとも主流派と思しき人たちは与党政党と結びつき相互に利用し合っているのでしょう。


当方が町内会長を務めた町内会は,認可地縁団体になっており,地方自治法上,政治と宗教への関与は禁止されています。しかしながら,町内会長は自動的に地元選出与党議員の後援会役員にされ(選出の野党議員もいるのですが),これまた自動的に神社の氏子代表なのだそうです。この様な違法行為は常態化しているのです。

明らかな違法行為となることを避けるために,神社の奉賛会なるものが作られ,町内会とは別組織としています。聞くところ,あちこちでも,これがだいたい標準的な手法の様です。しかしながら,宮委員なるそのメンバーの選出は町内会に委ねられており,寄付金の集金業務などは宮委員のみならず本来は神社に関係のない町内会の班長がする事になっています。

非常に困りました。
仕事外のボランティア活動として,やり手がいないから行きがかり上引き受けた役目(貧乏くじに当選)ですが,半強制的に違法行為をさせられるのですから。住民には,当番的に神社関係の仕事や寄付金の集金をさせられる上,それだけで足りず,祭りなどの神社行事に応じ町内会予算から酒などの支出,年一度の寄付金を支出します。そんなことを,もし反対の意見を持つ住民が知って,訴えられたら完全に負けます。

住民に寄付金を集金させる事,酒などの寄付も限りなくグレーですが,それをいちいち指摘して止めさせていたら町内会の仕事が回りません。半強制的ながら一応辞退もできるので,初穂料はぎりぎり自発的寄付とみなすにしても,さすがに年一度の町内会会計からの一律の寄付金は完全に違法行為だと判断しましたので,出金せず放っておきましたら,随分経って奉賛会の会計から,「なぜ払わないんだ!」と矢の様な催促が来ました。

当方は,ただでさえ町内会で寄付金を集めているのに,さらに「無条件に町内会の会計から寄付金を支出するのは明らかな法令違反だから出来ない」と拒否しました。

先方は,「自分は会計が仕事だから,そんなこと知らんが,文句あるなら奉賛会会長に言え」と言ってきました。
会長の連絡先を聞き,コンタクトしました。年寄りで,耳も遠い様でしたので,文書を書いて持って行きました。予想外に,奉賛会会長自身疑問を感じている活動だったのです。当方が指摘したのはもっともな事だと言ってくれました。当方も重々知っている旧憲法と現憲法との関連などの経緯も語ってもらいました。奉賛会の会計に手を突っ込む様な宮司の姿勢にも批判的でした。ただし,他の区域ではすべて払っており,慣例上払ってもらわないと自分の立場上も困るとの事だったので,当方は最後の手段で「念書」を取りました。

念書には以下の様なことを書きました。
町内会長の立場として,これは明らかな違法行為だと思うが,慣習的に払えという奉賛会の強い要請に基づいてやむなく支出するものである,住民等からの訴えが出た際は,これは「全て奉賛会ないしは神社側の責任に帰するものである」と,署名捺印してもらった文書を2部作って署名捺印・割印した上で,支出しました。念書に法的効力は無いとのことですが,もし訴訟になった際にここまではっきりしたものを裁判所だって無視はできないでしょう。当方は公的な仕事をしていましたし,法的にも誤解を招く様な行為はしたくありませんでした。住民から訴えられる事は,おそらく無いとは思いますが,類似の事例をネットで調べてみると,住民側は支出した責任者である町内会長を訴えます。それも理不尽な話です。市の法律相談で弁護士に対応を相談したのですが,明快な回答が得られませんでした。どうも「さわらぬ神にたたりなし」の様です。仕方なしに当方がとったせめてもの対応でした。

伝統的慣習的にそうだからと,法令解釈のほうを遠慮する。違法支出を求められながら,責任は求めたほうでなく出した方がとらされると。ここは法治国家なのだろうか?と暗然としました。寄付金に関する疑念は他にもありますが,機会を改めて書きます。
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momotaro

これも大事な問題提起ですね。
Enrique さんが浮世(憂き世)に関わると、問題点が浮き彫りになり、大変世のためになりますね。ありがとうございます。お疲れ様です!
by momotaro (2022-03-03 09:40) 

Enrique

momotaroさん,
当たり前のように続けているので,疑問挟むとまずい雰囲気になります。町内会長は勝手に「何とか」いう神道名がつき,直会(なおらい)とかに出席しないといけないのだそうです。当方はあからさまな宗教活動には参加出来ないので,神社関係のお付き合いは,ご年配の副会長に任せました。
むろん次期会長など若い人でも当然の事の様に慣習として取り組まれるのに,むろん自由意志ですから反対は出来ませんが,当たり前のようにその様な仕組みになっているのは蟻地獄そのものです。
by Enrique (2022-03-07 15:49) 

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