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日本の消費税は国際的に見て低いのか

財務省のホームページの消費税の国際比較を見ると,日本の消費税率は世界ではかなり低いように見えます。

付加価値税率(標準税率)の国際比較
財務省のホームページにある消費税の国際比較・水色は食料品

現在は8%ですが,再来年の4月から10%になるのが決まっています。それでも,国際的には低いというように言われることがあります。ヨーロッパ諸国などは軒並み20%とか,北欧諸国では25%前後,ハンガリーでは27%くらいにもなっています。
しかし,先進国では表面税率は高くても,フランス5.5%,ドイツ7%などと食料品の税率は低いです。イギリスやアイルランド,カナダやオーストラリア,メキシコなど0%の国も結構あります。

単純に比較はできません。各国の表面税率は最高のものが表示されるわけで,いくら贅沢品に高額な税金がかかっても一般国民の生活には響きません。
かつて日本では一定額以上の宝石や大型テレビなどに15%とか,大型乗用車には23%などの物品税がかかっていました(もっと高いものがあったかも知れません)が,消費税の導入に伴い廃止されました。
これを表面税率で言うなら,消費税導入に伴い最高税率の23%が3%に大幅減税され,現在8%だと言う事になります。10%になってもかつてよりずっと低い事になってしまいます。
実際には,税率が下がったのは大型乗用車などのごく贅沢品のみで,食料品含めほとんどのモノの税率は0%だったのです。ですから,かつての日本の税率をここのグラフに載せると,表面税率23%で食料品が0%のアイルランドと同じと言う事になります。国際比較で現在の日本の税率が低いというのは,日本の税率がかつての物品税の時代よりも大幅に下がったと言っているのと同じ事です。とんでもない事を言っているのは明白でしょう。

様々な低減税率がある世界各国の税率と,最高も最低もない日本の一律課税の消費税とを最高税率だけで比較したのでは,そのような大変な誤認を生む事になります。実際には税収に占める消費税収の割合で見るべきで,日本は8%ですでに先進国並みの消費税負担をしている様です。

税収を上げたい財務省はそのようには言いません。低減税率を導入すると,税率を上げても十分な税収アップが見込めません。低減税率は政権与党に連立している政党が主張していることです。

そこで何とも姑息な提案が出て来ました。
食料品も一旦満額取った上で還付し,その額1人年間4000円を上限にするのを検討中だとのことです。この額は食費の20万円分です。一人の食費の平均て,どの程度でしょうか。仮に月5万円としますと,年間で60万円です。

これでは,実際の消費分の1/3しか還付されない事になります。すなわち,表面税率10%のものを9.33%に低減してやるということです。こんなエサで国民を釣ろうと。8%にしてもらう為には,1日548円の食費で生活しないといけません。これ以上食費を掛ける者は贅沢な消費者だと。しかも大変な手間の手間賃にもなりません。こんなまやかしを呑むようなら,低減税率を党是のように言って政権に小判ザメしている党の意味はいよいよ全く無くなるということです。

こんなインチキで低減税率を導入しましたというのなら,日本は食料品生活必需品の果てまでしっかり10%取っていますよとアピールした方がよほどハッキリして良いでしょう。もともと消費税の導入はシンプルな税率にして徴税コストを下げようと言う事だったのではないですか。

税金は税率も大事ですが,使われ方の方も問題です。本来税金で賄われるべきものがどんどん劣化しているのは承知の通りです。実質的にも消費税率の高い国は,教育や福祉などの国民への還元が手厚い事はちょっと調べれば分かる事です。
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コメント 4

majyo

論から先に申し上げますが、なにがなんでも増税反対ではありません
>使われ方の方も問題です。本来税金で賄われるべきものがどんどん劣化しているのは承知の通りです。
の高い国は,教育や福祉などの国民への還元が手厚い事はちょっと調べれば分かる事です。

本当に目的にあった増税なら致し方ないと思いますが
福祉を削り、防衛予算を多くし、無駄づかいは甚だしい
そして、10パーセント取りながら
1人年間4000円を還付するなんて、姑息ですよ。
こちらが押し戴くという事になります。
それも、面倒な手続きをするのですか?

とにかく役人と与党政治家の考える事、まあ目くらましでしょうか
by majyo (2015-09-09 19:58) 

gonntan

丁寧な説明ありがとうございます
この国総理大臣に説明の仕方をご教示ください
これが丁寧の見本だよって
by gonntan (2015-09-11 21:03) 

Enrique

majyoさん,全くおっしゃる通りだと思います。
財務省は処理が煩雑だとか言って従来低減税率を否定していたわけですが,やはり本音は税収を減らしたくないと言う事だけのようです。
だって,多くの中進国で出来ている低減税率が我が国で出来なくて,わざわざ複雑な仕組みを使ってほんの僅か還付すると言うのですから。
そしてそのように,低所得者からも容赦無く徴収した税金の使い道は見ての通りと。
by Enrique (2015-09-13 23:30) 

Enrique

gonntanさん,丁寧な説明と見本とのこと,ありがとうございます。
ところで,首相さん達が手本とされるアメリカは,この図に入っていません。州税だから,面白いですね。それなら国の税率は0%と表示しないといけません。敢て0%とはしなくても,アメリカは州毎に税率が違い,ネットでの買い物など州をまたいだ取引は非課税ですね。

by Enrique (2015-09-13 23:38) 

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