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「原発事故 次も行くのか」

朝日新聞の1面に載っています。

5年前の東日本大震災および福島第一原発の事故の際にはいち早く自衛隊が派遣されました。

おそらく,当時の首相(菅直人)の頭には,阪神淡路で救助が遅れて被害が広がったのは自衛隊の出動が遅れたせいだと言うトラウマがあったのでしょう。全面的な出動を要請しました。

もし原発事故が再度起きたら,また出動するかと言う記事でした。

命令が出たら従わざるを得ないが,当時現場を指揮した陸曹長は隊員の安全に対して責任を持てないと言っているとのことです。

MOX燃料棒はウラン燃料よりも9倍も高い9億円とも報道されています。
太陽光発電のせいで高い電気料を払わされていると言われます。FIT買い取り制度が高い料金の元凶と。
幾つか疑問があります。

原発の特徴は,小型で大出力。エネルギー密度が極めて高いことです。熱効率は30%程度と高くはありませんが,核エネルギーと言うものすごいものを元にしているので,一基で100万kW(1GW)程度の出力があります。世紀の大工事でなし得た黒四ダムの発電所の出力が33.5万kWですから,如何に大きいものであるかが分かります。

高浜原発は1,2号機が82.6万kWが2基,3,4号機87万kWが2基で,計約3.4GWです。ちょうど黒四の10個分を需要地の近くで得ている事になります。電力会社にしたら,動かしたくて仕方が無いことでしょう。メーカーで言えば,直ぐに売れる製品の原料を山積みにしてラインを止めているわけですから。

0.87GWの原子炉に燃料棒をセットして,3年フル稼働したとしましょう(実際には点検期間ともあるのでしょうが)。
簡単に電気料金を1kWhあたり30円としましょう。(沢山使う一般の家では33円余り,企業向けや深夜料金はずっと安いですが。)

870000kW×24h×365日×3年×30円=6859億8百万円

これだけぶんの電気料売り上げを得られる事になります。1億円のウラン燃料をわざわざ高い9億円のリサイクルのMOX燃料にしているというのは,それだけを見ると大変理不尽の様に見えますが,燃料棒の値段が1億円でも9億円でも大差ありません。6000億円の売り上げからしたら,タダの様なものです。しかも,これは一基分ですから,4基あればかるく2兆円以上の売り上げです。巨大な打ち出の小槌のようなものだということが分かります。もちろん,大半が再処理料金であったりその他運用費であり,燃料代そのものは取るに足らないと言う事が分かります。

これだけの電力量を石油で得ようとすると,どれだけの燃料代が掛かるのでしょう。石油の価格をリッター40円としましょう。灯油の燃焼熱を35000kJ/Lとして,電力への変換効率を40%としますと,

870000kW×3600×24h×365日×3年 ÷ 35000kJ × 40円 ≒ 940億円

確かに燃料代だけを見ると100倍も高いですから,原発の電気が安いといくらでも言えそうです。しかし,そもそも,1億とか9億とか言われる燃料費自体も公表されておらず推測とのことですし,再処理料金などいくら掛かるか皆目見当もつきません。建設コストも格段に高いはずですから,燃料費がいくら安くても,普通の民間会社なら二の足を踏む事でしょうが,かつては全電力会社が原発設置競争を行い,電力会社内では出世の前提が原子力に関わることでした。そして,いくらコストが掛かっても電気料金に転嫁出来て会社の利益を損ねない電気料金システムがそれをバックアップしたのです。

とある企業にいた時,振るわない業績の再生プランの様なものを策定するにあたって,社内の様々な意見を集められました。その中で印象に残っているのは,「国策に乗る」という意味のことでした。これが最も確実に稼げると言う事のようでした。ぱっとしなかった会社が見違える様に成長することがあります。もちろん自力でなし得たと言うところもあれば,ナントカ省の御用達になったというのが大きいようです。その下請け孫請けでもご利益は大きいのです。

間違いなく巨大な利権です。「止めるには国民的合意が必要」と,国民の意思を尊重するかのような主張をされる方がいますが,では作るのは国民的合意でなされたものだったでしょうか?いつの間にか知らない間に50何基も出来ていた。おそらく国策として進められたのです。自分のところに来たらイヤだが,他所なら良い(というか地元が良いと言うなら敢て反対も出来ない)ということで,知らぬ間に容認した事になっていたのではないでしょうか。経済に食い込んでいることは確かでしょう。そして原発について話す事はタブーか政治的発言のような空気に持って行かれました。

「次も行くのか?」その前提は,再度事故が起こると言う事です。
「常温核融合」というものが一世を風靡した事があります。1億℃にもなるプラズマ中でしか起きないはずの核融合反応が,ビーカーの電解液中の電極内で起こると,大騒ぎになりました。核融合はクリーンエネルギーと言われますが,中性子は出ますので,それなりに危険です。実験を行った人達には,専門により二通りの方々がいたそうです。一つは,「あるはずだ」と言いながら何の防御もしないで実験をした人達,もう一方は「無いはず」と言いながらも中性子の防御をして実験をした人達とでした。どちらがより正しい科学的態度であるかは自明です。私は根拠の無い安心より万一の不安を持つべきだと思います。
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