ドイツを非難する違和感

同じ敗戦国で，近い価値観を持ち，日本人以上にき真面目な国民性でEUの中心。リサイクルや自然エネルギー活用の国のイメージがありますが，同国を平然と非難する人がいます。

どうも，同国が脱原発に舵を切った事が気に入らない人がいるようです。
その国の意思でやった事ですので，何を非難したいのか良くわかりませんが，どうも狭い了見であるとしか思えません。

聞いたことのある意見としては，「ドイツは電力をフランスから買えるから良いんだ。」というものです。 陸続きの両国とは異なり，島国の日本ではそれが出来ない，と。

しかし，犬猿の仲だった両国が現在は仲良くやっているなら良いことでしょうに。それに，ドイツの再生可能エネルギーでの発電分も原発大国フランスに回っているようです。ようは電力系統が繋がって補充しあっているのです。

日本だって，韓国・中国とネットワークを組めば良いのです。対馬海峡に電力ケーブルを通せば朝飯前です。むしろネットワークが安定して，小電力の風力や太陽電池発電が多数繋がっても系統が丈夫になります。

少し旧聞になりますが，WV車の偽装プログラム問題が発覚した時，鬼の首を取ったかのように「そらみたことか」と書きたてた週刊誌がありました。その時も違和感を持ちました。グローバル化した自動車産業において我が国のトヨタや日産とどう違うのでしょう？明日は我が身では無いのかと思ったものですが，なぜ「そらみたことか」なのか，記事を読んでもさっぱりわからなかった記憶があります。その後三菱自動車の燃費偽装問題が出たり，日産自動車などの検査偽装問題が出たりしたことはご承知の通りです。

原油の価格が上がった方が日本経済に有益？かのような報道がNHKをはじめなされました。原油高による実態のない株式の金融相場を期待したり，地熱発電をほとんど無視したり，メタンハイドレートの開発がさっぱり進まず，どういう仕組みなのかは国民には明らかにしないまま，どうも原発を動かす事が日本の国益にかなうと，そういうことのようです。

原発を動かすかどうかの鍵になっているのに，まともに議論すらされない日米原子力協定。これが，この7月に30年の満期をむかえ，自動継続される見込みとのことです。「韓国などに比べ原子力政策で優遇されているのだから，有効活用すべき」と説く識者らしき人もいます。

狭い国土で地震火山の多い日本での原発の多数運用は綱渡りと言うべきでしょう。エネルギー安全保障というならば，原発の自爆を辞さない焦土作戦の上に立つと見るべきでしょう。確かスイスでは攻め込まれてどうしようもなくなったら焦土作戦を展開するということに国民のコンセンサスが取れているようです。保守系タカ派の人などがよく言う事ですが，日本ではテロやミサイルの危険性を言うわりには，そのターゲットとして最も脆弱な原発のセキュリティには目をつむるのは誠に奇妙な事です。いや，これは不思議がってもしょうがありません。はっきりとウソがあると言う事です。

発生させるのに様々な手段がある電力を，経済効率が良い，電力会社が儲かる，安全保障になるかも，本音を隠した曖昧な理由でずるずる再稼働させられてはかないません。保守派が日本側のメリットを強調する日米原子力協定ですが，どう有利なのでしょうか？

識者らしき方の主張はさっぱり理解できません。韓国よりも有利な条件だ。核燃料の扱いを許されているのは非核保有国では日本だけだ。原爆は作れないと。どれを取っても何が有利なのかわかりません。武器であれ平和利用であれ核を使う事が前提であれば別ですが，原爆が作れないのなら安全保障にはならないはずですし，それが良いのなら最初から核燃料など扱わなければ良いのに，「原爆は作れないけど核は有効活用すべきだ。」とか，核燃料を自由に扱えるのは非核保有国では日本だけだなどというのは，そんなに誇れる事なのでしょうか？核燃料を扱わなければ，福島第一原発前の最大の事故だった，東海村のJCO臨界事故だって起こらなかったはずです。

論拠不明な有利説を主張をされる方々の目的は，金になるとか別のところにあるとしか考えられません。一部の人の利益になっても日本国民全体のメリットになるかどうかは大変怪しいものです。

はっきりと言えることは，脱原発を叫んでも金にはならないが，原発推進は金のなる木だということです。直接間接に金をもらっているのは間違い無く原発推進派なのです。金をもらって根拠不明瞭で声高に主張する方のほうがはるかに危ういのは明らかです。

しかし，平気で嘘を言い，その嘘がバレてもまだ平然と押し通す者がいる事。日本国憲法下では主権者のはずの国民が，権力者の嘘を平気で許し，またそれにあやかろうとする人々自らが進んで現在の悲劇的状況を作っているのだと思います。