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ネット回線を替える [科学技術雑感]

ようやく,家のネットを光回線にしました。

当家では96年末頃からダイヤルアップ回線でネットに繋ぎました。
その前は80年代末ごろからファミコン通信というものをやっていました。パソコン通信というもののほうが主流だったかもしれませんが,ファミコンに通信アダプターをおんぶさせてちまちまやっておりました。ゲームはしないので,ファミコンはそれ用でした。

インターネットの時代になり,当初はN社のMとかBとかいうサービスを使っていましたが,数年後USに一時期行く事になり,当時ローミング機能が最も進んでいたSo-netに乗り換えました。その辺のいきさつは以前少し書いた事があります。

ダイヤル・アップ接続で,確かSo-netの月15時間の接続サービスが確か¥2000だった記憶があります。通信速度は28.8kbpsでした。何せ音声を通す前提の電話線の帯域でやっていますから,その位が理論限界(笑)だったと思います。

デジタル通信には,デジタル専用線を使うのが正しい訳ですが,各家庭に専用線を引く訳にもいかなかったですから,既存の電話線かケーブルテレビのアンテナ線,それか電力線くらいです。それらを流用するわけですが,通信の観点からすれば,テレビの同軸線が一番まともでした。でもどこの家でも繋がっているわけでもないので,一番よくある電話線が用いられたのも無理は無いわけです。

当初の電話線を使ったデジタル線は,帯域64kbpsの電話回線を2回線分使ったISDNでした。当時はこれが最善のものに見えましたが,アナログモデムよりもそう速い訳でもないのに,いくばくかの基本料を払うのは遠慮しました。むしろADSLに代表されるxDSLと呼ばれる技術は,電話線に音声よりも遥かに高い周波数の信号を通すことで,既存の電話線で高速通信を行う技術でした。

音声を通す想定の電話線の中を損失が少なく通そうとしても,限度がありますが,それでもISDNの128kbpsより遥かに速くなるのですから画期的です。でも日本のN社はISDNをお高いお値段で盛んに営業していたのですから,なかなか素敵な会社です。何分通信インフラを作った国策会社ですし,技術は全て一般の民間会社に丸投げでも,一般民間会社の方は自社開発の新しい技術を発表するときは,必ずN社様のご指導の下と言ってくれますので安泰です。

そういえばこの会社,プッシュホン回線というものを提供していました(今もあるのかどうか知りません)が,あれは社の大型計算機に繋いで,計算サービスを提供しようとしたようですが,電卓が出て来たため止めたらしいですが,それでもそのプッシュホン回線で,お高い基本料を取り続けていました。インフラを整備して,そこから独占的に定常的な利益を得続ける,というのが分割民営化した現在でも同社のビジネスモデルのように思われます。

N社の悪口を言うつもりは毛頭ありません。なぜなら,この元公社は赤字を出した訳でも何でもない優良経営のまま民営化されました。もともと税金で作られた会社を民営化して株式を売り出し,その売却益をまた国が使うと言う錬金術のようなものです。税金の代わりに有益な用途に使われるのであれば,それはそれで良いのですが。

いつの間にやら分割民営化されたN社さん,下々の一般民間企業に仕事とついでに優秀な人材を提供しつつ今日に至っています。電話の独占事業は膨大な利益を上げたことと思いますが,その後の分割民営化はアメリカのATTがモデルになっていることは想像に難くありません。

N社に限らず,かつて三公社五現業と言われていたところは,あらかた民営化されています。一番最近でいえば,郵政民営化が記憶に新しいところです。

さて,当家のネット環境は,2005年頃から始めたADSLで十分だと思っていたのです。ネット始めた頃の様に,わざわざアナログ音声にして電話代を払って低速通信したり,基本料を払って電話線を2回線分割り当ててもらったりしなくても,従来の電話回線1回線分で,実測で下り8Mbpsくらい出ていましたから,十分満足していました。これで当分は良いと思っていました。

いつごろからか,光回線のネットサービスはADSLとそう大差無いくらいに安くなっており,光回線に替えても良かったかもしれませんが,私を踏み留まらせたのは,一時期あった怒濤の電話勧誘です。あまりにも頻繁で執拗なので,いやになりました。そこまでしなければならないという事は何か事情があるのだろうと思い,止めました。

最後はSo-net経由でも来ました。さすがに紳士的でしたので,それなら替えようかと思いましたが,電話によるネット回線の勧誘はクーリングオフの対象外とのことが引っ掛かって止めました。じっさい法律はそうなっているようです。

私は何も特に不便感じていないものを,月数百円と言え,固定費的に高くなるのはイヤですし,接続機器を替えたり返却したりするのもメンドウです。

体感ですが,ADSL回線が遅くなる事が多い様になったと思います。殆ど止まることも時々起こるようになりました。それが,ネットのライブ中継を利用した子供の学習に支障を来す様になり,仕方ないので,光回線にしたということです。

今回は自発的に替えましたので,掛かって来た確認の電話の対応がよろしくなかろうと余り気になりません。少しでも安く上げたいので,光電話と抱き合わせの様な無線LANのサービスは止めておきました。月に¥600の節約は大きいです。自分で安い無線LANルーター(ハブ?)を買ってきて繋げば良いだけですので。

設定はよほど詳しい人でない限りマニュアルではやらない方が良いでしょう。時間が掛かかる上,有料サポートを使うハメにならないとも限りませんので付属のCDを使うのが得策です(娘は光学ドライブの無いMacでかなり苦労したとのことです)。光電話と無線LANサービスを契約すれば,それ用の終端装置と無線LANルーターまでがセットになったものがつくはずで,Windowsならば,付属のCDを使ってやれば,簡単にセットアップ出来るようになっているようです。ウチは無線LAN部分は純正リース品のものを使っていないので,口が一つだけのN社のロゴつき終端装置があてがわれています。これで,付属CDを使って(必要ない設定をパスしながら)有線でまず開通させ,その後市販のお安い無線LAN器具(2000円台でした)をハブとして使う事になります。これもマニュアル通りにやればすぐにできました。

下りは最速で従来の5倍程度,38Mbps程度です。無線LAN経由ですとやや遅くなるようです。上りも同程度出るようです。ADSLでは1Mbps程度しか出なかったですから,こちらは格段に速いです。しかし,これもネット中継で,こちらからのデータを上げる際とか,データをウラウド上に上げる際のみとかの上り方向を頻繁に使うことが無ければ,もったいないだけです。

たまにやるアップロードに時間が掛かったって放っておけば良いだけです。光ファイバーを使えば,速度が上がるのは当然ですが,従来の電話線に高い周波数の電気信号を載せて,よく使う下り優先にして,様々なデジタル変復調技術を使って速度を稼いでいたADSLは素敵でした。

AMラジオよりもFMラジオ,ラジオよりもテレビの方が電波の周波数を高くしています。情報は搬送波の周波数が高い程大量に載せられますので,格段に周波数の高い光には情報が大量に載せられます。現状ファイバーの透明度の高い近赤外域を使っているようで,それでもその周波数は193.1THzだそうです。ADSLでは,搬送波周波数の最高が1.104MHzですから,その周波数は1億倍以上です。いわば1億倍速くなっても良いものが,数倍程度しか速くないということは,それだけ大量に多重化していて個々への割当が少なくて済むということです。元が一本の光ファイバーで数百万数千万の顧客を賄う事ができるわけです。怒濤の電話攻勢の理由はこれだったわけです。
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